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[小説]窓から見た世界①

 ***

 僕が一日の大半の時間を費やしているこの部屋からは、隣の公園の広場を見下ろすことが出来る。

 都内でも大きいことで有名なこの公園には、多くの人が足を踏み入れている。友達同士でボール遊びをする人、ひたすらにジョギングをする人、親子連れで歩く人、恋人同士で時間を過ごす人、犬の散歩をする人、ただ散策をする人、目的もなさそうに芝生に寝ころぶ人、大道芸を披露する人。ごくまれに、見るからに不審な行動を取る人もいる。パッと目に映るだけで、こんなにも多くの人がいる。

 こうやって窓の外を見ることが、僕の唯一の楽しみだ。

 体の中の抗体を作る機能が悪くなるという病気を患っている僕は、大人の許可なく外に出ることは叶わない。もし外に出てウイルスが体の中に侵入してしまったら、瞬く間に命を落としてしまうようだ。
 この病気がいつ治るかはお医者さんでも分からないようで、僕は物心ついた時からこの部屋にいる。

 公園を満喫する人を見て――特に、僕と同年代の子供が公園の中を走り回っているのを見ると、「いいなぁ」という言葉がつい口から漏れる。

 しかし、だからこそ、いつか僕もこの世界を自分の足で歩きたい、と希望を抱いて生きることが出来る。

「――あ」

 公園を見たら、はしゃいでいた子供が石か何かに躓いて転んでしまった。声は届かないけど、痛ましい声で泣いていることは、その姿だけで分かった。僕はガタッと椅子から立ち上がった。けれど、僕が助けることは叶わない。
 しかし、そんな心配も束の間、優し気なおじさんが子供に手を差し出していた。子供はおじさんの手を取ると泣き止んで立ち上がった。
 そして、そのまま何もなかったように、また再び走り始めた。

 一度転んだのにも関わらず、またすぐに走り出せるのは、実はすごい能力だと最近になって思う。

 検査の結果が悪いと聞いた時、立ち直るまで時間が掛かる。一度躓いたら僕は暫くは塞ぎ込んでしまう性格だから、あの子のようになれない。

「よし、僕も頑張るぞ」

 窓の外を見ながら、いつか絶対に僕は病気を治してみせると誓った。

<――②へ続く>

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この記事を書いた人

 東京生まれ 八王子育ち
 小説を書くのも読むのも大好きな、アラサー系男子。聖書を学ぶようになったキッカケも、「聖書ってなんかカッコいい」と思ったくらい単純で純粋です。いつまでも少年のような心を持ち続けたいと思っています。

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