記事一覧
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岩村亮です。 当サイトにアクセスして頂いて、誠にありがとうございます。 このサイトでは、短編小説をアップしております。現在の更新ペースとしては、四分割(時々五分割)した短編小説を、毎週月曜日に上げるような形となっています。なので、月一で一つ... -
[ノンフィクション小説]青空に描いた祈り -チョンミョンソク牧師に重ねた理想像-
*** 『英雄はいる。――誰かの空想の中に』 それが、少年が心の中に導き出している答えだった。 文明が発達し、わざわざ遠く足を運ばずとも世界と繋がることが出来るこの現代、自分の立場を放り出して、危険な地へと赴き、手を差し伸べる人はいない... -
[小説]走った先は④
・走った先は① ・走った先は② ・走った先は③ *** たくさん努力して、自分なりに辛酸も舐めて、なのにその結果が報われなかったら、過ぎ去った月日はどうなってしまうのだろう。 俺は全国大会に出ることを夢見て、三年間を費やして来た。 二年前... -
[小説]走った先は③
・走った先は① ・走った先は② *** 全国への切符を手にすることが出来る大会まで、残り一か月を切っていた。ここから追い込んで、大会までにベストコンディションになるように調整をしていく。 今の俺は調子がよかった。 去年の大会で二秒の壁に... -
[小説]走った先は②
・走った先は① *** 秋の夕暮れ時に走ると、爽やかな風が身を撫でて、どこまでも走れそうな気になる。トレーニングということを忘れて、己の限界に挑戦してみたい。 ジョギングする足を自然と弾ませていると――、 「調子良さそうっすね、イッキ先輩... -
[小説]走った先は①
*** 「今年もダメ、か」 ゴールラインを割った瞬間に吐き出された息が、全力疾走の果てに出た吐息なのか、それとも落胆から出た溜め息なのか、判断が出来なかった。 多分両方とも正解だ。どちらの比率が大きいかは、自分自身が一番分かっている。... -
[小説]月と鼈⑤
・月と鼈① ・月と鼈② ・月と鼈③ ・月と鼈④ *** 「ねぇ、瑠々奈。帰らないの?」 終業式が終わった教室で、ただ独り姿勢を正しながら座っている瑠々奈に私は声を掛けた。黒板の方を見ていた瑠々奈は、私に目を向けて、いつものように恭しく口角を上... -
[小説]月と鼈④
・月と鼈① ・月と鼈② ・月と鼈③ *** 身も心も溶かすような暑い暑い夏の日、汗が滴り落ちるのを気にすることもなく、私は目的地に向かって走っていた。 あまりにも楽しみ過ぎて約束の時間の十五分前には到着するように家を出たのに、「やっぱりな... -
[小説]月と鼈③
・月と鼈① ・月と鼈② *** 転入生という存在は、否が応でも注目されやすい。 その前提条件を除いたとしても、瑠々奈はクラスの注目の的だった。 お嬢様然とした振る舞いに、誰に対しても丁寧な対応、物腰柔らかな態度に、微笑ましい愛嬌――、瑠々... -
[小説]月と鼈②
・月と鼈① *** 「円谷瑠々奈です、宜しくお願いいたします」 ジメジメとした梅雨入りの日に私たちのクラスに転入生としてやって来た瑠々奈は、鬱屈とした空気を吹き飛ばすほどのキラキラとした空気を纏っていた。 人の心を絆す表情、凛とした姿勢... -
[小説]月と鼈①
*** この地球という世界は、ひとつしかない。 けれど、だからといって世界がひとつしかないと言えばまた別の話だ。この地球に住む人の数だけ、世界というものは存在している。 私の世界は私の見てるもので構築されているし、芸能人が住む世界は... -
[小説]つくる理由④
・つくる理由① ・つくる理由② ・つくる理由③ *** 難波幸音は、好きなことに一途だった。 周りから見れば、自由奔放で猪突猛進、周りの顔色を気にしないような人間だった。 幸音にはひとつの夢があった。誰もが認めるデザインをこの世に残し、そ... -
[小説]つくる理由③
・つくる理由① ・つくる理由② *** これまで奈地壱作は、自分が好きなように生きて来た。 周りに足踏みを揃えることはせず、自分が好きなように創作をし、自分が好きな作品を世に生み出し続けて来た。 その結果として、世の人とは異なるデザイン... -
[小説]つくる理由②
・つくる理由① *** 奈地壱作は、人付き合いが苦手だ。というよりも、興味がないと表現した方が正しい。 興味がない人のことは名前と顔が関連しない。他人で脳を占めるよりも、まだ見ぬ新しい作品に全てを投資した方が、壱作には有意義だ。 壱作... -
[小説]つくる理由①
*** 嵐が通り過ぎたかのように無秩序に荒らされている自室のリビングを見た時、部屋の持ち主である奈地壱作はどこか他人事のように状況を捉えていた。 奈地壱作と言えば、稀代のデザイナーとして世に名を馳せている人間で、半世紀の間でたくさん...
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