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[小説]はじまりの願い②
・はじまりの願い① *** 「はぁ、ほんっと激務」 先生の仕事というのは、担任を受け持って児童の面倒を見ながら、黒板の前に立っているだけではない。 全教科分の授業の資料づくり、テストの作成と採点、校内の掃除、児童の相談、家庭訪問、遠足や... -
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[小説]はじまりの願い①
*** まるで自分自身がヒロインになったかのような経験を、人生の中で誰でも一度は経験するだろう――。 私も、その一人だった。 物心ついた時から高校に入った頃まで、私は周りの大人からは可愛がられ、友達からも慕われたことで、こうしたいと思... -
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[小説]無我夢中④
・無我夢中① ・無我夢中② ・無我夢中③ *** 「羽佐間、くん」 緊張していることがあまりにも伝わって来る、か細く、震えて、弱々しい声。 最初、誰が俺に声を掛けているのか分からなかった。そもそも本当に声が発せられていたのかどうかも怪しかっ... -
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[小説]無我夢中③
・無我夢中① ・無我夢中② *** 全ての能力が平均そこそこの俺は、何者にもなることが出来ない。運動が出来て周りから持ち上げられることもなければ、勉強が出来ることで誰かから頼られることもなく、クラスを盛り上げるような明るい性格でもない。そ... -
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[小説]無我夢中②
・無我夢中① *** クラス委員長は華々しい役割のように思えるが、学校行事の取り纏めだったり、提出物を集めて先生に届けることだったり、クラスの皆が過ごしやすいようにまとめたりなど、実際のところは雑務ばかりだ。 真剣に向き合ってしまえば... -
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[小説]無我夢中①
*** このクラスには、変人がいる。 齧りつくようにいつも机に座っていて、この世に留まっていないようにいつも上の空で、そのくせ突然スイッチが入ったかのようにいつも急にスマホやタブレットを一心不乱に操作する。当然、周りとは上手く馴染む... -
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[小説]雷の悪戯④
・雷の悪戯① ・雷の悪戯② ・雷の悪戯③ *** 周りとは合わない、俺は昔からそう思っていた。 何もない空白の時間というのがとにかく嫌で、刺激を求めるように色々な行動をした。退屈を凌げれば、何でもよかった。 高校生や大学初めの頃は、まだ常... -
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[小説]雷の悪戯③
・雷の悪戯① ・雷の悪戯② *** 「……嘘」 幼馴染である藤本剛に関するニュースを見た時、口から吐いた言葉は我ながら間の抜けたものだった。 だけど、そんな間抜けな言葉が堰を止めていたのか、私の中で剛との想い出が溢れ始めてしまった。 私と剛... -
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[小説]雷の悪戯②
・雷の悪戯① *** 大学時代の一時を共に過ごしたかつての悪友のことを、ふと思い出した。 二度と名前を聞くこともないと思っていた人物、藤本剛。それをまさか――。 「速報です。雷が目の前に落ちた、藤本剛さんですが、病院にまで運ばれたようです... -
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[小説]雷の悪戯①
*** 自然は人に寄り添い、人の生活を豊かにする。自然が及ぼす影響は、人の考えを遥かに超越していて、人々に禍福をもたらす。 そう。喜ばしいことだけでなく、災いも共に――、だ。 「現場で巻き込まれたのは、今のところ一人だけだという情報が入... -
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[ノンフィクション小説]青空に描いた祈り -チョンミョンソク牧師に重ねた理想像-
*** 『英雄はいる。――誰かの空想の中に』 それが、少年が心の中に導き出している答えだった。 文明が発達し、わざわざ遠く足を運ばずとも世界と繋がることが出来るこの現代、自分の立場を放り出して、危険な地へと赴き、手を差し伸べる人はいない...
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